『WHITE ALBUM2』最低の純愛を描いたアニメにもなった名作のエロゲー
おすすめアダルトゲームレビュー
『WHITE ALBUM2』はリーフが制作したエロゲ―。
シナリオは『冴えない彼女の育てかた』を執筆した丸戸史明。
誰かを本気で好きになることの素晴らしさと、そのことで逆に他の誰かを傷つけてしまう苦しみを描いた物語です。
アニメにもなり、大ヒットした18禁アダルトアドベンチャーゲームです。
「introductory chapter」と3年後を描いた「closing chapter」セット版です。
『WHITE ALBUM2』の世界観にどっぷり漬かれる内容になっています。
■プロローグ(introductory chapter)
冷たい風を震わせて、歌が聴こえてきた――
夕暮れの音楽室で俺が奏でるギターに合わせるように。
隣の教室で顔も知らない誰かが奏でるピアノに合わせるように。
屋上から響いてきた、鈴が鳴るように高く澄んだその声は、バラバラだった俺たち三つの旋律を繋いでくれた。
始まりは、そんな晩秋。
そのとき、誰かが誰かに恋をした。
誰もが一生懸命だった。
誰もが強い気持ちで突き進んだ。
誰もが、ひたむきに、まっすぐに、正直に――
心の底で結ばれ、かけがえのない瞬間を手に入れた。
だからそのとき、誰かが誰かに恋をしてしまった。
一足遅れの、してはいけない恋を。
そして冬――降り積もる雪は、すべての罪を覆い隠し。
やがて春――雪解けと共に、すべての罰を下す。
■プロローグ(closing chapter)
冷たい風を震わせて、歌が聴こえてきた――
夕暮れのキャンパスに、誰もいない学食に、寂しげな校舎の窓辺に。
三年前に凍らせたはずのあの歌が。
情熱に突き動かされ、純粋な想いを綴った、欺瞞の歌が溶けてゆく。
あの、三人だった冬も今は遠く、一人と一人の季節を何度も繰り返し。
続きは、そんな晩秋。
あの時引きちぎろうとした絆の、醜い傷痕が乾くこともなく、けれど、何かが変わる予感とともに始まっていく。
寂しい二つの旋律は、互いを惹きつけ傷つけて、そしてまた、新たな旋律を呼び寄せる。
もうすぐ、新しい冬が来る。
あのひとといられない、そしてあいつのいない冬が。
ホワイトアルバムなんて知らない。
だって、もう何も歌えない。
届かない恋なんてしない。
だって、もう人を愛せない。
引用:FANZA
製品情報 |
販売日 |
2018/2/14 |
シナリオ |
なかむらたけし 柳沢まさひで 桂憲一郎 |
イラスト |
丸戸史明with企画屋 |
音楽 |
AVG |
音声 |
あり |
動作環境 |
Windows10
|
ファイル容量 |
6711.21MB |
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このゲームの最大のおすすめのポイントは話が引き込まれるところです。
最初に出会ってから10年ほど経ちますが冬になるとふと思い出してプレイしているそんなゲームです。
話の基軸は北原春希、小木曽雪菜、冬馬かずさの3人の三角関係が中心となっていきます。
委員長基質の北原春希は最後の高校生活の思い出を作りのため学園祭バンドを結成しようとするものの本番を待たずしてバンドは空中分解してしまう。
それでも、学園祭に参加することを諦められない春希は紆余曲折を経て学園のアイドル小木曽雪菜、学園の鼻つまみ者であ理ながら天才的なピアニストである冬馬かずさを勧誘することに成功する。
親友の飯塚武也を加え短期間でありながらライブを大成功させる。
ライブを成功させ達成感を得てこれからもずっと3人でいられると思った3人。
しかし、ライブの後に雪菜が春希に告白したところから3人の関係に徐々に狂いが出来始めてしまう。
サブヒロインとして3人が登場しますが彼女たちが数合わせということは決してなく彼女たちとの出会いが主人公を成長させていきます。
全てを経た上で主人公が結論を出す時は涙なしでは語れず後半は寝ずにプレイしてしまったのはいい思い出です。
私が一番好きなヒロインは冬馬かずさです。
彼女は主人公にとってどのルートであってもおそらく最愛の女性であり、彼女が絡むと常に正論で相手を圧倒していく主人公が途端に「間違えた」選択肢をとっていきます。
そんなことを察して彼女は必死で彼を思うが故に距離を取ろうとする描写が周回を重ねていくうちに浮き彫りになっていきそこがまた話に深みを与えています。
主人公の「正しいだけで物事を決められたら、人は誰も、こんなに悩んだりしない。」はこの作品を一言で表している名言だと思います。
そんなもう一人のメインヒロインである小木曽雪菜ですが彼女もプレイをしていくに従ってユーザーを虜にしていく魔性の存在です。
彼女以外のルートにいくと必ず彼女との決別が描写されるのですが、主人公に毅然と相対して別れを受け入れ去った後に悲しむ姿はある種の美しさがあり笑顔がチャームポイントと見せかけてこちらが最大の魅力なのではないかと思わせてしまいます。
話がいいなら小説で十分ではないかと思うかもしれませんが主人公の立場となって選択を迫られることで苦悩を感じられより話に引き込まれていきます。
話だけ見れば主人公は優柔不断なクソ野郎です。
しかし、ゲームをプレイした後だとおそらく一概に言えないと思います。
ぜひこの物語をプレイしてみてください。
自信を持って勧められる作品です。